至素根譚 (しすこんたん/syscontan)

マイスケジュール

 お客様との「もめ事」の要因は三つに大別される。

「品質」「金額」「納期」

 この三つの中で「品質」は両者の解釈相違による「言った」「言わない」が争点の中心になる。
そして「品質」に引っ張られて「金額」「納期」に影響が出てくる。
ただ「金額」「納期」の内容については、両者とも「誤解」は存在しない。
「金額」「納期」は契約書に必ず明記されている。
「曖昧な表現」はない。
例えば「金額は約1億円とする」とか「納期は○○年の春頃」とか。
 一方「品質」に関して「誤解が発生しない表現(約束事)」を見た事がない。
その為「誤解が発生した時の約束事」は「ワンサ」とある。
「品質」という良く分からない物を基に「金額」「納期」を確定することにそもそも「無理」がある。
これが、逆であれば「論理性」は保たれる。
「『金額』『納期』に見合った『品質』で良い」となれば、もめ事も少なくなると考えられるが「それでいい」と言ったお客様に出会ったことがない。
したがって「プロジェクトリーダー」はこの狭間で何らかの「ひねり」を入れなければならなくなる。
 「金額」は営業管轄である為、対象は「納期」しかない。
本番が「四月一日」と明記されているが、その日に全てのプログラムは実行されない。
「月次作業」の本番は「五月一日」であり、年次作業は「翌年の四月中旬」である。
「月次・年次作業」が「四月一日」に出来あがっていなくとも、お客様にはとくに影響がなく文句を言われる確率は低い。
 という事は、全ての納期が「四月一日」でないことになる。
となると、契約書の「四月一日」はそこから本番が始まるということであって、実際の「納期」ではないことになる。
この論理をお客様に「正々堂々」と主張する必要もなく、ましてや「開発スタッフ」に対しても声を大にして説明する必要もない。giantc.gif
リーダーは「お客様」「開発スタッフ」の両者には「本番は四月一日」だと言っておればいい。
 リーダーは「己だけのスケジュール」(他人にはマル秘)を作成しなければならない。
「己のスケジュール」より厳しいスケジュールを「開発スタッフ」と作成し「己のスケジュール」より甘いスケジュールを「お客様」と作成する。
 両者には、それぞれ相手方のスケジュールを見せてはいけない!
三通りのスケジュールを知っているのはリーダーのみであり、一種の「八百長」にも似た芝居を平然と演じきれる「能力」が求められる。
「陣頭指揮を取る時期」「指示するタイミング」等は「己のスケジュール」のみに存在する語句である。
マイスケジュールを作成できるのは「天性の能力」なのかもしれない。
 本番の四月以降「システム改善」「第二次システム開発」と称する「契約」を結んでおかなければならないのは当然の話である。
ウソは言っていけない!本当の事も言っていけない!(筆者の格言)
ところが、現実は「一種類のスケジュール」しか存在していないことが多い。
そして「本当の事」を馬鹿正直に言い合っている。
 これでは、スケジュール調整という最も重要なリーダーの出番を自ら放棄していることになる。
まさしく「墓穴」を掘っている。
他人に作らせたスケジュールを基に「定例ミーティング」と称して「バーチャートの消込」のみに専念し、
「何日遅れです!」
なんてもっともらしい根拠のない「回答」に
満足したり…
怒鳴ったり…
このタイプの人の「辞書」には「陣頭指揮」いう言葉が存在しない。
というより「やったことがない」と言った方が正確である。

この段階で、スケジュールは立案時の「妥当性」「根拠」はどこかに消え、
唯一無二の「正しいスケジュール」に見えてくる。