至素根譚 (しすこんたん/syscontan)

一生のお願い

「一生のお願い」

この言葉を過去何度聞いたことだろう。
「聞いた」というより「聞かされた」と言った方が正しい。
似たような文句を並べ立ててみよう。

「俺が責任取るから」
「これ以上悪くならないから」
「俺を信じろ」
「絶対、そんなことはないから」
「悪いようにしないから」
「これ以上迷惑かけないから」
「これが最後だから」
「これっきりだから」

これらの枕言葉がついた「お願い」にそのとおりだったためしがない。
そして、今日もまた誰かが筆者にいう。
「八島さん。頼むヨ!ネ・ネ・・・」
「ホントだから・・・」
ホントであったためしがない。
人は説明に詰まった時、さきほどの文句を連発する。
「そうでなかったら?」の質問に
ただ、ひたすら
「ない・ない・絶対ない」
のくり返し・・・(論理的根拠はない)
駄目だった場合の対応策は考えていない。
筆者に最初の「OK」を言わせることのみに集中している。
しぶしぶ「OK」と返事すると、間髪入れずに次の「お願い」が続く。
「『これっきりだから』と言ったばかりじゃないの!」(筆者)

「出来ません!」 と言うと、
「なんで・なんで・・・」とわめきだす。
「どうして・どうして?」
ちょっとでも受け入れる条件を言おうものなら、相手の思う壺。
話はだんだん「なし崩し」になっていく。
この手の口説き名人が周りにはウヨウヨいる。
口はうまい。調子がいい。
「埋め合わせすっからサ、頼むよ」(名人)
「今度、軽く飲みに行こうよ」(連れていってもらったことがない)

ほんとうに断りたいなら「やりたくありません」と答えるがいい。
「あっ、そっ」
とその後の会話が続かなくなる。
「断る時」は即答でなければならない。

「明確に」「強く」「簡潔に」

返答しなければならない。
余計な理由を並べ立ててはいけない。

「これが最後だよネ・ネ・ネ」(筆者)

「そんなにガタガタ言わずにサ・・・」(依頼者)
「悪いようにはしないからサ・・・」

そして、また本番間際にやってくる。
「八島さん!お願い・お願い、一生のお願い・・・」

依頼者には全く罪悪感がない。