至素根譚 (しすこんたん/syscontan)

明日は我が身

 知人から電話が入った。
「知り合いのパソコンのウィンドウズが立ち上がらない。ハードディスクエラーらしいので何とか直して貰えないか?」
「OK」と返事をすると翌日にそのパソコンが届いた。
直せる自信はないが早速、現象を確認した。
「WindowsXP」のスクリーンが出た後に「a disk read errror occurred」が出て止まらない。
まずは、ウィンドウズの機能の復旧処理を実行。結果は同じ。
パソコンに搭載されているHDDの診断プログラムを実行。
ディスクの一部に読取エラーが発見された。

次に以下のDOSコマンドを実行した。

  • 1.FIXMBR
  • 2.CHKDSK/P(中断)
  • 3.CHKDSK/R 50%以降回復できず
  • 4.FIXMBR \device\harddisk0
  • 5.FIXBOOT:C

再起動したが復旧しない。
FIND dataを実行したが全セクタ数が表示されない。
HDDをパソコン本体から取り外し、買ってきたハードケースを装着。
筆者のパソコンに接続してアクセスしてみたが「未フォーマット」と表示されこれもダメ。
知人からは電話・メールが毎日来る。
「どんな状況ですか?」(知人)
「手に負えそうもないですナ」(筆者)
「そこを何とか・・・」(知人)
経緯を詳しく聞くと、ある作業現場で使用しているパソコンで重要な資料が入っており、
これがないと仕事にならないというではないか。
「もしダメなら・・・?」の質問に
「数ヶ月かけて再作成するしかない」「パソコンの所有者は相当落ち込んでいる」(知人)
ということでトコトンやることにした。
「プロに依頼してもいいですか?」(筆者)
「お金はいくら掛かってもいいですからデータをデータを・・・」(知人)
「必死感」が伝わってくる。

 インターネットで「ハードディスク救急」のキーワードで業者を探して2社に絞った。
1社は値段が安い。
前日にアポイントを取った。
先方は「出向く」と言ったが訪ねることにした。
色々なツール・機器を持っているに違いない。
場所は「下落合」
「場所が分かりにくいので電話をすれば途中まで迎えに行きますが」(先方)
「住所が分かっていますので直接訪ねます」と返事した。
翌日、地図を片手に現地に着いたが事務所らしい建物が見つからない。
「ココしかないのになあ~」目の前には木造のアパート。
「郵便受」を見ると202号室に代表者名が書かれている。
部屋をノックしても返事がない。
携帯電話をかけるとドアの向こうに呼出音が鳴っている。
電話を切ると、音も消えた。
ここであることは間違いない。
数回電話をしてようやくつながった。
「今どちらにいらっしゃるのですか?」(先方)
「目の前にいます」(筆者)
「今すぐに準備しますのでしばらくお待ちください」(先方)
どうも寝ていたようだ。
しばらくしてドアが開いた。
狭い部屋に大きな薄型テレビとパソコン2台。
期待した専門機器は見当たらない。
座ったソファはどうも先程まで「ベッド」だったようだ。
「早速ですがここにサインを・・・」(先方)
「誓約書」である。
自信タップリな病院の先生に似たような対応。
HDDを差し出して「経緯」「今までやった事」を説明しようとした。
先方は軽く聞き流しながら自分のパソコンに接続して作業に入った。
「あ・・・それはすでにやりましたがダメでした」(筆者)
「それもすでにやりましたがダメでした」(筆者)
すると、急に態度が小さくなり、
「もう私には何も出来ません。依頼はなかった事にしてください」(先方)
「どこかでリカバリしてくれる所を知りませんか?」(筆者)
「知りませんネ」とつれない態度。
早々にその場を立ち去った。

 すぐに2社目に電話をして夕方訪ねることにした。
場所は「銀座7丁目」
オフィスは5階。エレベータから降りると目の前が受付。スペースはほとんどない。
左横の棚には中身が入っている宅配用の袋が100個近く置いてある。
担当者が慌しく発送の準備をしている。
受付担当者はちょっと説明を聞いただけで「HDD」を引き取った。
時間にして5分。後ろにはもう次の人が待っている。
受付の奥からは電話対応の声が途切れない。
2日後、メールが届き「リカバリ可能」との返答。
さらに数日後「HDD」と「リカバリーデータが入っているDVD」が手元に届いた。
こんなに繁盛しているとは・・・非常に驚きである。

「ハードエラー、今日は他人事(ひとごと)明日は我が身」

筆者のパソコンのバックアップを実行したのは言うまでもない。