至素根譚 (しすこんたん/syscontan)

問合せ技能

 ある日、知人宅を訪れた時、突然「トイレの診断」を依頼された。

「ウォシュレットが動かない」との事。
確認すると、確かにボタンを押しても「水が流れない」・・・おかしい。
当然、お尻を洗う水も出ない。
「誰かに診て貰いましたか?」(筆者)
「近所の人、何人かに診て貰ったけどダメでした」(本人)
「メーカーに問い合わせましたか?」(筆者)
「・・・・・・」(本人)
「ところで、この状態はいつからですか?」(筆者)
「数か月前から・・・」
トイレを見ると、ウォシュレットの操作パネルの上に、
「水が流れません」の注意紙が貼ってあった。

筆者はトイレのプロではない。
すぐに、「トイレの取扱説明書」を読む。
「困った時・・・」の頁を開く。参考にならない。
取扱説明書の裏にコールセンターの電話番号があった。
携帯電話からコールセンターを呼び出す。

最近のメーカーの対応はいきなり担当者は出ない。

先方から「コンピュータ音声」で幾つか質問され、
指示通りに「選択番号」を押して、ようやく担当者が出てくる。

「トラブル状況」を説明すると、製品の型番を訊かれた。
「判らない」(筆者)と答えると、
「トイレの蓋の裏を見てください」(メーカー担当者)と
見ると、そこにはしっかりと製品に関する諸々の記載があった。
いつも蓋を開けているのに、こんなところに書いてあるとは今の今まで気付かなかった。

「操作パネルを外してください」(メーカー担当者)
「どうすれば、外れますか?」(筆者)
「左右外側を両手で持って、上へ持ち上げてください」(メーカー担当者)
「裏側に電池をセットする箇所があるので、電池を交換してください」(メーカー担当者)
指示通りに電池を交換する。「ジャ~」と水が流れ出した。
「ありがとうございます」(筆者)
一瞬にして、「問題解決」である。時間にして、約10分。

数か月の間不自由していた本人は興奮気味に、何度も水を流す。
「うん、大丈夫!」(本人)

筆者は、この「出来事」が笑えなかった。
「簡単」そうにみえて、実は「簡単ではない」。
「専門用語」「適切な用語」を知っていれば、相手に言いたい事が容易に伝わるのだが、
「的外れな言葉」で説明する為に余計に話がこじれる。

昨今、この手のトラブル対応を自分で出来ない人々が増えている。
特に年配者の多くはついていけていない。

以前、某ブロバイダのルータの「トラブル対応」を依頼された。
問合せ先に電話すると、最初から最後まで、「コンピュータ音声」による質問攻めにあった。
質問毎に数字を選択する。やっと、「ルータ」が不良品であることが認められ、
数日後、交換品が届いた。

この対応には、専門知識が必要であり、素人にはちょっと無理がある。

パソコンのみならず電化製品等のトラブル対応には「問合せ技能」が求められている。